社会から見捨てられた,とある個人の手記

世界経済や社会現象を通して,自己とは何かを突き詰めていきます.基本的に便所の落書きです.

未来を知っている人間の行動原理 -Gedankenexperiment(思考実験)-

あなたが未来を予知できるとしたら,どういった行動をとるか?

 

結論は以下の通りです.

「未来を知っていても,人間は未来を知らない状態と同じ範疇の行動をとる.」

つまり,普通のままの生活と言うことです.

ここで言う普通の定義とは,「通常の人間が許容できるリスクの範疇」であります

 

ここで行いたい思考実験とは,例えば,全財産を1つの馬券に賭けるとか,実弾の入った拳銃でロシアンルーレットをするだとか,こういった破滅的行動をとるか?ということです.

 

そんなのは明白だ,当たる馬券を買うに決まっている.なるほど確かに議論の余地がなさそうです.しかし,それに全財産を賭ける人間はいないはずです.結局,安全な範囲の金額で馬券を買うことしかできません.これはすなわち,”普通”の行動です.

 

人間は,自分の知っている未来を疑うのです.知っている未来が100%実現するだろうか?違う未来が万が一起こるのではないか?こうやって不安に駆られてしまい,結局は普通に収斂するわけです.

 

つまり,予想される未来の確度と,未来を知った人間のリスク選好度は比例しないのです.100%確実な未来を知っていても,リスク選好度は最大値をとらないのです.では,リスク選好度が最大値をとるーすなわち,破滅的行動をとるーには,どういった条件が必要か?それは,予想される未来を信じなければならないという状況です.

 

今は含み損だが,自分が見初めたこの株は絶対上がるはずだ.

ブラック企業だが,この会社で我慢するしか選択肢がないはずだ.

自分の運命のパートナーは,この女の子であるはずだ.

 

このように,あたかも現状以外のオプションがないかのような錯乱状態に陥ったとき,人間のリスク選好度は最大値をとるのです.したがって,「オプションが常に複数あること」,「現状維持に拘り過ぎないこと」が,リスクを避けるうえでいかに重要であるかが,この思考実験で明確に分かります.

 

これは投資に限らず,人生のあらゆる場面において言えることでしょう.

 

どうもこの世の中には,一つの物事に拘り続けることを美徳とするきらいがあります.なるほど確かに一握りが成就しハッピーエンドとなれば美談です.しかし,その美談の裏に,数え切れないほどの悲劇があります.それは,退却の決断をとれば,避けられた悲劇であることがほとんどです.

 

未来を知ったあなたは,その未来を疑うでしょう.しかし,未来を全く知れない私たちは,在りもしない未来を想像し,それが確実に起こると頑なに信じてしまうのです.

 

確実なものを疑い,不確かなものを信じる.人間の精神とはなんとも不思議ですね.